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温故知新と、破壊と創造をテーマに様々なシーンの交差点として代官山から 音楽を発信し続け、この夏3周年を迎える代官山UNIT。 そのAnniversaryイ ベントの目玉として登場するのは、NYを拠点に世界中のおよそありとあらゆ る音楽をMix upし続ける鬼才ビル・ラズウェル率いる"METHOD OF DEFIANCE"。 今回初来日を果たす、「反逆の戦法」と名付けられたこの新しいユニットの 目指すものは何なのか、その全体像とは!









ニューヨークを拠点に国や音楽ジャンルの境界を乗り越え、破壊し続けてきたビル・ラズウェル。 ミュージシャン/インプロヴァイザー/プロデューサー/レーベル・オーガナイザーとして多くの顔を持ち、 アンダーグラウンド・ミュージック界のドンとして君臨する彼の経歴は、 80年代以降のあらゆる音楽の イノベーションの歴史である。ニューヨーク・ゴングのベーシストとしてアーティスト活動をスタートした ビル・ラズウェルは ほどなくあらゆる音楽を融合するための実験室としてマテリアルを結成。 常に時代の 先端を行くアヴァンギャルド・ミュージックを独自のファンクネスによって まとめ上げる手法によって、 81年の1stアルバムを皮切りにライブ盤2枚を含む10作品を残している。



マテリアルはアルバムごとに腕利 きのアーティストを招聘し、その音楽性に強烈な色彩を与えてきたプロジェクトだが、91年発表の THE THIRD POWERでは、スライ&ロビー、ブーツィー・コリンズ、ハービー・ハンコックといった ダブ/ジャズ/ファンクの重鎮達とラスト・ポエッツ、ジャングル・ブラザーズ、シャバ・ランクスといっ たMC達の競演を演出。



97年のアルバムIntonarumoriでは、グランドマスターDST、ラメルジー、フレイヴァー・フラヴ (パブリック・エナミー)を 起用。アンダーグラウンド・ヒップホップの可能性を追求している。



中でもウィリアム・バロウズ、ウェイン・ショーターをはじめとする錚々たるメンバーとともに、アンビエント、ヒップホップ、ダブ、サイケデリックワールドミュージック,etc....ありとあらゆる音楽の可能性を一枚のアルバムとしてまとめあげた93年のHallucination Engine(幻覚機関)は数あるラズウェルのプロデュース作の中でも最高傑作との呼び声も高い。







このプロジェクトを筆頭に、フレッド・フリスとのロック系即興バンド『マサカー』、 アントン・フィアーとアート・リンゼイといったアンダーグラウンドなアーティストの 集合体プロジェクト『ゴールデン・パロミノス』、 インプロヴィゼーション・バトルを実践した『ラスト・イグジット』、 ジョン・ゾーンとの『ペイン・キラー』 アヴァンギャルド・ファンク/ヒップホップ/ロック系ユニット『プラクシス』、 インドのタブラ奏者ザキール・フセインとの『タブラ・ビート・サイエンス』ほか ビル・ラズウェルが主宰する実験的プロジェクトは多岐にわたる。



また近年はプロデューサーからリミキサー的な転換を示すような作品も多数残しており、 マイルス・ デイヴィスやボブ・マーリー、サンタナの過去作のダブ・リミックスや、自身がキューバに赴き現地 で活動する トラディショナル・アフロ・キューバン・バンド、セプテート・ナショナルのダブ・アルバムを フランスのアパレルブランドA.P.Cと共に制作するなど、 その多作ぶりと音楽的探究の貪欲さ においては他のアーティストの追従を全く許さない。




そして、このような幾多の音楽の修羅場をくぐり抜けてきた彼が、激戦の戦友達と共に現在最も力を注い でいる 最新プロジェクトこそが、本邦初公開となるMETHOD OF DEFIANCE(反逆の戦法)なのである。