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INTERVIEW




Interview with Ryan Hemsworth
(text : @soulflower_no1)


Ryanが東京にやってくる。おそらくは彼にとっても少し特別な意味を持った街に。

この多作プロデューサーによって発信されてきたどこか親密なフィーリングの音楽は、気づけば好事家たちの耳を完全に浸食してしまっていた。近年では、一癖も二癖もある各国のラッパー達・パートナー達との共同制作や、レーベル”Secret Songs”での精力的なキュレーションを経て、彼へのラブコールは増え続けているように見える。本インタビューはそんな中、彼との邂逅を待ちきれない者達により、インターネットにおける最もオールドスクールな会話の流儀のひとつ・Eメールを介して行われた。



- こんにちはRyan、ギグ前の慌ただしい期間にこのインタビューに答えてくれて、とても嬉しく思ってます。まずはこの1年を振り返るところから始めさせてください。なんといってもアルバム『Guilt Trips』の発表は、あなたがコンポーザーとしても、ヴォーカル作品のプロデューサーとしても次のフェイズに進もうとしていることを示した重要な事件でした。このアルバムを世に問うにあたって、考えていたのはどんなことでしたか?

Ryan: 『Guilt Trips』は、最初はホントどういう風に受け止められるか分からなかったんだよね!だってどの曲も全然ダンスミュージックじゃないし、クラブで"使える"って感じでもないし。でもあれをリリースすることが、僕にとっても重要だったんだ。僕が音楽を楽しんでる時って、旅行してる時や家にいる時で、ヘッドフォンで聴いていることがほとんどだから、人にも僕の作品を同じように楽しんでもらえるものにしたかった。実際、リリースした後はすごく嬉しい反応をもらったよ。

- なにか予想外の反応はありましたか?

Ryan: 僕のヴァイナルを買ってくれた人やすごく気に入ってくれた人は、たとえば学校の宿題をやりながら聴くのがいいとか、愛する人と一緒にいる時に聴くのが一番、っていう風に言ってくれたね。僕はそれってホントにキュートで嬉しいことだと思ってる。だって僕の音楽がじっくり考えたり、リラックスしたりする手助けになってるってことだから。

- あなたの中でも変化があったのでは。

Ryan: そうだね。もっと「踊らせること」から自由な音楽を作ってもいいんだな、っていう自信を得ることができた。別にクラブっていう特定の場所だけじゃなく、どこでも思い思いのやり方で音楽を楽しむ人たちのために、作品を届けることができるっていうことが分かってきたんだよね。

- 昨年からのライブセットの映像や、そのオーディエンスの様子を観ていても、その自由さみたいなものを感じます。音楽的にはかなり雑食で冒険的なミックスに挑んでいるにも関わらず、あなたの周りに不思議と和やかな空気が流れている気がして、ちょうど良い雰囲気なんですよね。

Ryan:まさにそれが今の僕のスタンスなんだと思う。そんなにマイクで煽ったりもしないし……シャイなんだよね、実際は。ライブを演ることで自信も付いてきたけど、とはいえ自分がスティーブ・アオキのショウみたいにトランポリンで飛んだりケーキを投げたりするようになるとは思えないし。ただ皆のために音楽を鳴らして、その瞬間瞬間に没頭していきたい。

- そんな風にパフォーマンスに没頭している時に頭の中に浮かんでいることを、あえて文字にするとすればどうなりますか?

Ryan: 正直に言うと「誰か楽しんでくれてるかな?」みたいなことかも知れない、フフッ。もちろん楽しんでくれることを願ってるし、プレイ中にもどうすればもっと良くなるかを考えてるよ。考え過ぎと言えるかもしれない。案外、飲むことで解決したりするしね!

- あなたがこれまで合作の相手に選んできたMC達は、Main Attrakionzの2人やShady Blazeは勿論、Starlito、Lofty305、そしてTrimまで、皆一筋縄では行かないいびつさ、アウトサイダー性といったものを抱えたアーティストであるように思います。あなたの持っている彼らラッパーへの愛着、こだわりについて教えてください。

Ryan: 僕が一緒にやってきたラッパー達って、皆すごくオープンマインドでクリエイティブな人たちばかりだと思う。だからこそコラボレーションがうまくいったんじゃないかな。僕はそもそもノーマルなラップ・ビートを作れないし、作ろうとも思わないけど、僕が送りつけた曲に彼らのペンが加わることで、自然と平凡なラップ・プロダクションとは違うものができあがるよね。

- そうしたコラボも、あなたの周りに形作られているコミュニティも、いずれもネットが発端だったりするわけですよね? これは東京公演の共演者であるTomadも同世代として興味を持っていた点なのですが、あなたとネットの関係、その遍歴についても教えてくれますか。

Ryan: 小さい頃から、僕にとっては、音楽を探すということはレコード屋で”掘る”ことではなくて、ネットでブログやLive Journalを検索することだったんだよね。今はもちろん世界中に友達がいてコンスタントに音楽をシェアし合っているわけだけど、ティーンエイジャーの頃なんかは専らブログをチェックして音楽を見つけてた。たとえばMomusみたいに自分が旅した土地のことや、好きな音楽のことを書いているアーティスト達のね。日本の音楽にリスペクトを持つようになったのも、確実にそういうネットの情報がきっかけだと思うし。

- その、ネットの大海から特別なものを見つけ出そうとする感覚は、今のあなたにも通じている気がしますね。もちろんコラボ相手の発見もそうだと思いますし。以前FADERの記事で見かけた話だと、LIL Bの気に入ったツイートを印刷したり、スクラップして持ち歩いたりっていう面白い趣味があったんですよね?

Ryan: ハハハ!うん、つまりはインターネットから”財宝”を掘り出して、それをフィジカル/リアルなモノにするっていうのが大好きなんだよね。最近だとCherのtwitterがフェイバリットだね。彼女はまじでヤバイ。

- 音楽に限らず、あなたの日本のカルチャーについての幅広い知識と愛にはときどき驚かされることがありますが、これも昔からなんでしょうか?

Ryan: 多分13歳か14歳の中学生の頃かな、ホラー映画とかその手の映像を掘るのにいい時代だったんだけど、その頃から黒沢清や園子温のような映画監督には敬服してきた。日本の音楽に惹かれるようになった話とはまた別に、映画とそのサウンドトラックが日本に目を向けるきっかけになったのは間違いないと思う。

- 現在、日本のカルチャーであなたがインスパイアされているもの……と言っても無数にあるでしょうけど、あえてベストを挙げるとしたら?

Ryan: 今はやっぱりMaltine RecordsとDay Tripper Recordsにインスピレーションを受けてる。もっと評価されるべきプロデューサー、Taquwamiも挙げておきたいね。

- 東京公演でのセットがどのようなものになるかは皆が気にしている所ですが、最後に少しだけヒントを貰えますか?

Ryan: 東京のショウのために、ちょっとした曲を沢山作ってるところ。僕の大好きな作品たちのサンプルを使ってて……フフフ、バカっぽく聞こえないことを願ってるよ!

- 東京で会えるのを楽しみにしてます!ホントにありがとうございました。


Ryan Hemsworth

Ryan Hemsworthは、誰もが隠し持 つ青春エピソードを炙り出す。クラウドラップやチルウェイヴやトラップやらのビートに乗せて。 Shlohmoらが所属するロサ ンゼルスを拠点とするアーティスト集団WEDIDITに所属。Main Attractionzらへのトラック提 供、Frank Ocean、Kanye West、Rhye、Cat Power、Lana Del Reyらのリミックスも大いに注目を集める一方、自身名義によるアルバム『Guilt Trips』 もPitchforkはじめ各種メディアから絶賛されたカナダ出身のDJ / プロデューサー。北米公演ではチケット完売後も問い合わせが殺到し、本番日になって大会場に変更されたほどの過熱っぷり。俄然注目を集める瞬間での初来日である。




UNIT & ODDJOB 10th Anniversary
"RADIOSHOCK!!!"


2014.10.10 FRI

LINE UP
【UNIT】
Ryan Hemsworth
tofubeats
PUNPEE
Seiho
スチャダラパー
AFRA
BACK TO SCHOOL

【SALOON】
DJみそしるとMCごはん
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藤井健太郎 feat. レイザーラモンRG
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【UNICE】
Roger Yamaha
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VJ
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-Ryan Hemsworth Japan Tour 2014-

UNIT & ODDJOB 10th Anniversary "RADIOSHOCK!!!" @ UNIT
w/ tofubeats,PUNPEE,Seiho,スチャダラパー & more

10/11(SAT) Ryan Hemsworth Japan Tour 2014 Nagoya @ CLUB JB'S
w/ Qrion (SenSe/Sapporo) & more

10/12(SUN) BUBBLE × 2BLOC Ryan Hemsworth , tofubeats @Live&Bar 11 [onzieme]
w/ tofubeats & more